床に座った時の正しい姿勢・悪い姿勢

日本では、椅子よりも床に座る時間のほうが長いという人も多いです。

床に直接座る場合、正座、胡坐(あぐら)、コタツや座椅子がある場合は長座で座ります。(長座を続けるには座椅子などが必要ですが)
座り方は色々ですが、正しい姿勢として注意するところは椅子に座る場合と同じです。

床に座った時の正しい姿勢と悪い姿勢を比較、姿勢をよくする座り方を解説します。正座・胡坐(あぐら)ともに椅子と同様、耳・肩・骨盤が一直線になるのが理想です。

正座は椅子より姿勢を正しくしやすい

正座は良い姿勢をとりやすい座り方で、科学的な根拠があります。

体の重さの中心=重心、この重心を通る垂直線が重心線で、まさに体の重さの中心線です。姿勢が悪いと、この重心線が前や後ろにずれてしまいます。
そして、体を支える面が基底面。なんでも物を支えるには中心が安定しますが、体も同じで、重心線が基底面の中心にあると体を安定して支えることができます。

これを踏まえて、椅子に座った時と正座の時で、基底面の中心と重心線の関係を見てみましょう。

正座と椅子の重心線

正座と椅子の重心線と基底面
正座のほうが重心線は基底面の中心に近い

椅子と比べて、正座のほうが重心線は基底面の中心に近いことがわかります。このため正座のほうが正しい姿勢で体を安定させやすいといえます。

椅子の場合、安定しづらく体幹の筋肉が疲れやすいので、重心線を基底面の中心に徐々に近づけようとして、状態が前傾、猫背になります。
正座でも重心線のほうが後ろなので椅子と同様、前傾は起こりますが、ずれが小さいので正しい姿勢を保つのが容易なんです。

このように、重心線が体を支える基底面の中心に近い正座は背筋を伸ばしやすい座り方なのでおすすめです。

正座の正しい姿勢

正しい正座

上体は立っている時と同じで、軽く胸を張り、肩を引き、腰が若干カーブするようにします。
耳、肩の前、腰の後方、骨盤が一直線になります

正座は足の成長に悪影響という意見がありましたが、あれは科学的根拠のないデマで、現在は否定されています。安心して正座しましょう。
余談ですが、私は椅子をほとんど使わない古い日本家屋の家庭で育ち、正座がメイン。しかも武道と書道を続けていたので家庭外でも正座の機会は多かったですが、身長約180cm、ジーンズなどは販売時の長さのまま購入で裾上げ不要です。人より正座が多かったですが脚は短くないですね。

正座の正しい姿勢では、耳・肩・骨盤が一直線に並びます。

正しい姿勢にするコツは
座ってから、一度胸を張り背筋を伸ばしたら、肩・胸の力を抜いてリラックスします。疲れた時に背伸びをしてから力を抜くような感じです。力を抜いたら頭が上に引かれるような感覚を意識してみましょう。背筋がきれいに伸びます。

腰・胸に力みや違和感がある場合は、まだ力が入りすぎています。伸ばした後は体の力を抜いて、背骨に頭の重さを預けましょう。

正座椅子が便利

正座の難点は、人によっては膝が痛くなったり、足がしびれたりすること。

ですが、これらの問題は正座椅子で解決できます。座椅子より軽くて場所も取らないので便利。正座椅子、大好きです

座面が小さいので不安に感じるかもしれませんが安定感に問題はありませんよ。

正座椅子を使うと背筋は伸びやすいですが、正座椅子自体に自然と姿勢を矯正する機能はありません。

背もたれ付の正座椅子もあるのですが、ただの背もたれで背筋を正してくれるものはありません。背もたれがあると便利ですがその分大きくなるので、個人的には手軽な快適円座クッションが好きです。

快適円座クッションの詳細ページ

胡坐の正しい姿勢

ただしい胡坐

胡坐(あぐら)を姿勢に悪いとして否定する方がいますが、胡坐でも正しい姿勢はできます。

正座同様、耳・肩・骨盤が一直線に並ぶのが正しい胡坐の姿勢です。

しかし、胡坐は足を身体の前方で組むため、身体の前方がお尻より高くなり身体が後ろに傾きやすいです。後ろに傾くと骨盤が後傾し、背中が丸まってしまいます。

足を体の近くで組むようにすることで、後傾を防ぎ良い姿勢を保ちやすくなります。

後は正座と同じ。座ってから、一度胸を張り背筋を伸ばしたら、肩・胸の力を抜いてリラックスします。力を抜いたら頭が上に引かれるような感覚を意識してみましょう。背筋がきれいに伸びます

腰・胸に力みや違和感がある場合は、まだ力が入りすぎています。伸ばした後は体の力を抜いて、背骨に頭の重さを預けましょう。

背筋が伸びる座椅子「凛座(りんざ)」

胡坐でおすすめなのがこの座椅子「凛座(りんざ)」。

腰・背中をサポートしてくれ、自然と正しい姿勢を保ってくれます。床だけでなく椅子でも使える優れもの。姿勢矯正の製品として一番のおすすめです。

Styleとちがい、クッションが入っているので座椅子として使いやすく、高さがあるので胡坐でも正しい姿勢が取れます。正座に使えないのが残念。
正座にも使えたら完璧だったんですが、形状から言ってそれは無理ですよね。だって座椅子ですから。

凛座の詳細ページ

悪い姿勢

悪い胡坐

床に座る場合の悪い姿勢は、猫背です。

後ろに体重をかけるところがありませんので、反り腰などはほぼありません。姿勢を正そうとしてやりすぎて胸が反る場合はあります。

猫背の場合、下向きの頭を支えるために首に負担がかかり、上半身の重さが腰にかかるため腰にも負担がかかります。

また、座りながら首を下向きにし続けると首に負担がかかるだけでなく、頚椎(首の骨)が伸びた状態が継続され、ストレートネックになってしまいます。
本を読んだり、スマートフォンを操作したりするときは卓上に本を置き、体から離すようにして、目線が上がるようにしましょう。

胸を反らすと腰椎(背骨の腰部分)が重心より前に来てしまうので腰に大きな負担がかかります。背筋を伸ばした時、腰に力みを感じる場合は反りすぎです。

横座り

横座りは背骨に負担

また、横座りと呼ばれる崩れた正座も悪い姿勢としてよく見られます。
これはバランスが片側によるので一方の筋肉だけに力がかかりコリの原因となります。また背骨が横に湾曲してしまい背中もしくは腰に負担がかかります。

アヒル座りは悪い?

アヒル座り

アヒル座りは問題なし

女の子座り・ぺたんこ座りとも呼ばれるこの座り方、骨盤が開くので良くないと言われます。

しかし、解剖学を知っている人から言わせれば、骨盤が開くことはあり得ません。骨盤は開いたり閉じたりしませんし、ゆがむこともありません。出産時に1~2mm動くだけです。骨盤で注意が必要なのは前後の傾きが正しい角度になっているか(前傾:反り腰、後傾:猫背)、だけです。

話題になったものでは、以前テレビで高須クリニックの院長が、骨盤矯正をうたう療法士を論破していたことがありましたね。その他にも元帝京平成大学解剖学教授の竹内先生も公の場で否定するなどされています。報道されるよりずっと以前から、多くの医師や解剖学を知る方は、骨盤のゆがみを否定していたんですけどね。

さて話を戻しまして、この座り方、武道などでは割座といってヨガでも取り入れられている座り方で、股関節と足首の柔軟性を高めることができます。

骨盤は開いたりするものではない以前に、骨盤に負担をかけるものではなく、主に股関節、そして足首の可動性が求められます。関節が硬いと股関節などに負担がかかりますが、柔らかい女性や子供は特に負担はありません。

ただ、ずっと柔軟の姿勢をとっているようなものなので不自然ではあります。ずっとこの姿勢というのはよくありません。
正しい姿勢であっても、同じ体勢を続けること自体良くないので、座り方のバリエーションとして合わせていくことは良いですよ。

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