習い事で姿勢は良くなる?おすすめの習い事は?

昔は学校で姿勢を厳しくしつけられていました。背中に定規を入れるのは当たり前。「気をつけ」の号令で軍隊のように”びしっ”と力を込めて体を伸ばすよう指導されていました。

しかし、現代の学校ではそこまで指導されません。身体的にハンディキャップを抱える子供への配慮などを考えると、昔のやり方は教育現場にそぐわないというのが一因です。いい時代ですが姿勢にとっては残念。

学校で教えてもらえない分は家庭でやるしかないですが、習い事を活用するのも一つです。

ただし、習い事で姿勢のトレーニングはできますが、家庭で姿勢を正す環境を作ってあげないと身につかないので、あくまで補助的なものです。

必須ではありませんし、習い事だけで解決するものでもありません。

スポーツである程度はよくなる

正しい姿勢と筋肉の関係は、実はよく分かっていません。筋肉が細いのに姿勢が正しい人もいます。ですので、スポーツで筋肉を鍛えることで姿勢が良くなるかというと、そこは確かではありません。

しかし、スポーツをすると姿勢はある程度良くなります。これはスポーツで成果を出そうとすると、姿勢を正すことが求められるからだと考えられます。

ランニング

速く効率よく走るには姿勢が大事

スポーツの基礎となる走る動作。
速く走ろうとすると体を伸ばして背骨のS字を作る必要があります。
長距離・短距離ともに走るという動作は、地面からの反動を走るエネルギーとして使っています。

悪い姿勢の走り

×腰の落ちた走り
(On Bicycles, and..より)

決して脚の力で前に蹴りだしているわけではなく、脚の力だけで走っても速くは走れません。スピードの出ない人にみられる腰が落ちた走りは脚を使った走りの典型です。

皆さんも縄跳びのとき、一回ずつ力を込めてジャンプしているわけではありませんよね?縄跳びは一回飛んだ後、完全に止まると逆に疲れるし難しくなります。これは、縄跳びは地面からの反動を利用して跳ぶ運動だということです。
地面で弾むボールのように、地面からの反発で体を弾ませているわけです。

走るときは、この地面からの反動の方向を前に変えることでスピードを出しています。

地面からの反動を得るためには、体はバネとして機能していないとなりません。バネの力が弱いと空気の抜けたボールと同じで弾むことができません。

体をバネとするのに大切なのが背骨のS字カーブです(アキレス腱も大事ですが、意識できない箇所なので省きます)。
針金をS字に曲げるとバネのような弾力が生まれるのがわかります。これがJ字のように一方向に曲がっているだけでは、バネとして機能せずつぶれてしまいます。つまり猫背や反り腰では背骨のバネの力が得られなくなってしまいます。

スタートダッシュの姿勢

スタートダッシュにも姿勢が大切

スタートダッシュは、まだ地面からの反動は得られませんが、背中が曲がっていると全身の力を進行方向に向けられないため、背中を伸ばしたほうが効率よく、早くスピードを上げることができます。

走る以外にもあります。例えば回転動作。スケートのスピンのように体を回転させるとき、背筋が伸びていれば小さな力で早く回ることができます。コマの軸と同じですね。これが曲がっていては回転軸がぶれてしまいうまく回ることはできません。
この動作はスピン以外にも、サッカーやバスケで素早く体の向きを変えるときも同様です。

このように、正しい姿勢でいることはスポーツで効率が良く有利です。効率が良いため体も自然とその形に近づこうとします。
みなさんも縄跳びをするときは背筋が伸びます。意識しなくても伸びています。そのほうが動きやすいことを経験で体がわかっているからです。

スポーツも同じで、経験を積んでいくと効率的に動くために姿勢を自然とよくする傾向にあります。

また、体を様々な方向に動かす必要があるうえ大きく呼吸をするので、横隔膜、胸郭(肺を包み込む胸全体)の柔軟性が高まり、姿勢が悪くなるのを防ぐ側面も考えられます。胸郭、横隔膜を使わないと胸全体が硬くなり前のめりになります。

スポーツを習うことは姿勢にとって良いことであると言えます。
しかし、スポーツをしていても姿勢が悪い人はいます。猫背とまではいかないのですが、肩が前に来て若干背中が丸まっているパターンが多いです。
これは一般的なスポーツでは、正しい姿勢までは指導されないことが大きいです。

また、体の前側はよく鍛えるのに後ろ側のトレーニングがおろそかになりやすいので、前後でバランスが悪くなっているケースもよく見られます。

確実に正しい姿勢を身につけるなら、運動の中でも正しい姿勢の指導をしてくれる習い事のほうが間違いありません。

武道と体操が確実

武道の正しい姿勢

武道は正しい姿勢から

武道は必ず姿勢を指導されます。

柔道、剣道、空手、少林寺拳法、合気道、弓道、相撲、なぎなた、銃剣道を日本の9大武道として日本武道協議会が定めています。 これらの9大武道であれば基本的に姿勢、立ち振る舞いを指導されます。

空手は流派が多いので難しいですが、姿勢をメインで考えるなら、フルコンタクトと呼ばれる試合を主に考えた流派より、伝統派空手と呼ばれる四大流派(剛柔流、松濤館流、和道流、糸東流)がおすすめです。

姿勢に対して最もしっかり指導するものはどれか、というのは難しいです。道場や指導者によって指導が厳しかったりゆるかったりしますので、武道の種類によってというよりは道場によるところが大きいです。

9大武道以外にも、居合や日本拳法、杖道と、武道はかなりの数があります。居合・日本拳法・杖道は9大武道と同様に考えてよいですが、その他無数にある武道がどうなのかは、見たことがありませんのでわかりません。
それらを習える機会も少ないので候補に挙がることもあまりないとは思いますが。

武道以外にも体操も姿勢を厳しく指導されます。
姿勢が正しくないときれいに技をきめることができないですし、立ち姿が美しくないと得点が低くなりますから、体操で姿勢は生命線です。

運動以外の習い事もありますよ

運動以外にも姿勢を指導してくれるものはあります。

書道は姿勢をしっかり指導されます。背筋を伸ばさないと筆が立たないので、背中を曲げていては字が書けないです。
ピアノ、バイオリンなども姿勢に厳しいですね。姿勢が悪いと良い音が出ません。

大人向けの習い事ですが、日本舞踊、茶道なども正しい姿勢が求められます。

ソロバンは姿勢悪いことが多いですね。指導しているところもあるのでしょうが、猫背や前のめりで首に負担がかかる姿勢でソロバンに向かっているのが大半です。

家庭が第一

習い事をうまく活用すると、正しい姿勢を身に付けやすくなります。

でも、家で姿勢が悪いままでは姿勢は悪くなってしまいます。せっかく下地は出来ても活用できない状態です。
家庭だけで指導するのは大変なので習い事を活用するのであって、習い事だけで万事解決するわけではありません

また、習い事の上達のためには正しい姿勢を身に付けるのが、効率が良く、近道です。いくら才能があっても、姿勢が悪いとその力を発揮することができません。

習い事の活用で家での負担を軽くして、家でも正しい姿勢に取り組むことで習い事を上達させる、という両輪の関係です。
子供にも「うまくなりたいなら姿勢をよくしないとね」というのは言いやすいし、効果抜群ですよ。

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